期待・希望が先行してきた
米国の先端企業

 ここ数年、米国を中心に世界の投資家の間では、ICT技術などを駆使してデータの収集、その分析、自動運転やロボットなどの開発に取り組む企業の成長期待が高まってきた。その背景には、質・量ともに膨大なビッグデータを活用していくことで、社会全体の効率性が上がったり、これまでなかった需要を生み出すことへの期待があった。

 それは、将来の“夢”を実現してくれる、先端ハイテク技術を持つ企業への期待や希望が先行する状況だった。新しいリスクなどの問題への不安よりも、成長への期待が勝ってきたのだ。

 それは、株価の急上昇によく表れている。

 過去5年間の上昇率を見ると、ハイテク企業が多く組み込まれた、米国の株式インデックスであるナスダック総合指数は126%上昇した。この期間、S&P500指数が75%、世界全体の株式市場が44%、中国やインドをはじめとする新興国全体の株式市場が約19%上昇したことに比べると、米国のIT先端企業への期待がいかに高いかがわかる。

 その結果、過去の平均的な水準を大きく上回るまでにPER(株価収益率)は上昇し、一部では米株式市場でバブルが発生していると考える専門家もいる。株価の急上昇は、投資家の“夢”に対する期待の表れとも考えられる。

 先行きへの期待が高まることは、経済成長を支える重要なエネルギーだ。長期的にハイテク企業の成長を支え、さらなる研究開発を促進することは、長期的な潜在成長率の引き上げに欠かせない。

 ただ、それと同時に、新しいテクノロジーやビジネスモデルに潜むリスクを冷静に判断し、データなどの管理をはじめガバナンスをいかに行うかという観点がややもすると忘れられてきた。フェイスブックのユーザーデータが第三者に不正に渡っていた問題、ウーバーの死亡事故の発生は、そうしたリスク・管理責任への観点を思い出させてくれるよい機会だ。