習近平政権は2期目に入っても依然として同闘争を継続し、党内を“整頓”していく。“恐怖政治”が敷かれ、官僚たちの“事なかれ主義”が懸念されるなか、それでも経済成長や構造改革をダイナミックに推し進めるためには王岐山の知恵・経験・豪腕、そして突破力が不可欠になるだろう。

 就任して間もない3月23日、王岐山副主席は中南海の紫光閣にフィリピンのカエタノ外相を迎え入れて会談している。そんな王岐山が現在最も習近平に求められているのが、対米関係の安定的発展を保証することであろう。現状を見る限り、経済関係では“貿易戦争”が展開されるのではとの懸念もされるほど緊迫した応酬が発生している。米国では法的拘束力を持たないとはいえ《台湾旅行法》が成立し、中国は米台間のハイレベルな往来や接触をますます警戒し、中国国内世論や解放軍の間では“武力統一”に現実味を持たせるような対米・対台ナショナリズムが同時に高揚しているように見える。

 北朝鮮問題では平昌冬季五輪前後に“デタント”を彷彿させる緩和状況が少なくとも表面的には生じており、トランプ大統領は金正恩委員長との会談にも意欲を見せている。

 一方、トランプは北朝鮮との対話を重視し、武力行使に慎重姿勢を示してきたティラーソン国務長官とマクマスター国家安全保障担当大統領補佐官を解任し、代役に“強硬派”と言えるマイク・ポンペオCIA長官とジョン・ボルトン元国連大使を抜擢している。政策主張と人事調整の間に存在する背反的矛盾に中国当局は戸惑っているであろう。対米関係における経済貿易問題と安全保障問題の連動性を警戒しながらの舵取りと大局的判断が王岐山には求められる。

対米マネジメントを支えていく
国務院副総理に就任した劉鶴

 そんな王岐山の対米マネジメントを実動部隊の首長として支えていくものと思われるのが、今回の“両会”でもその人事が注目された劉鶴である。

 政府官僚として長年経済・産業政策などに携わってきた劉は習近平政権発足後、中央財経領導小組弁公室主任として党中央の経済政策をマクロ的に策定し、管轄する立場で習近平の右腕を担ってきた。昨秋の党大会でトップ25に相当する政治局委員に就任し、今年のダボス会議では中国党・政府を代表して基調講演を行っている(昨年は習近平)。そんな劉は今回想定通り国務院副総理に就任した。