「南スーダンPKO日報破棄問題」に関して
ある専門家から聞いた話

 次に、「外国による国内政治への介入」という、国際社会に広がるもう1つのリスクを考えてみたい。2017年の通常国会で、森友学園問題、加計学園問題とともに野党やメディアから厳しく追及されたのが「南スーダンPKOの日報破棄問題」であった。南スーダンで自衛隊の任務遂行中に「戦闘」があったという文言が記載された日報が、ジャーナリストの布施祐仁氏が情報公開請求したことで発見された。だが、当初防衛省の回答は、開示でも不開示でもなく「日報は既に破棄しており不存在」だった。

 これに対して、布施氏が「常識的に考えても廃棄したというのはおかしい」とSNSで発信して拡散し、防衛省に対する批判が殺到した。結局、防衛省相は日報を出さざるを得なくなり、国会で野党から「隠ぺい」と厳しく追及された。最終的には、安倍首相は南スーダンからのPKO部隊の撤退を決定し、答弁が迷走した稲田朋美防衛相は国会閉会後の内閣改造で退任となった(第164回)。

 要するに、森友学園問題や南スーダンPKO日報問題など、国会で野党やメディアが厳しく追及を続けてきたことの本質は、「中央官庁における情報公開と公文書管理」の杜撰さだといえる。この連載では何度でも繰り返すが、「公文書書き換え」は、議会制民主主義の根幹にかかわる深刻な事態であり、国会でこの問題が徹底的に追及されるのは当然だ(第178回)。だが、ここでも連日メディアが安倍夫妻の関与の有無をスキャンダラスに報道し、国民が感情的になる状況で、より深刻な問題が隠れていくように思える。

 筆者が、日本のある専門家から聞いた話がある。防衛省には「日本の市民団体」から多くの情報公開請求が来る。防衛省がその内容を確認すると、明らかに外国の「代理人」として請求していると見られるものが多数あるという。これに対して防衛省では、国家安全保障の観点から海外に漏洩させたくない情報を、保存せずに破棄していた。防衛省内では、このような文書の破棄がなかば習慣化しており、その延長線上に南スーダンPKO日報破棄の問題があったというのだ。

 残念ながら、この専門家から聞いた情報は裏が取れない。だが、物事は最悪の事態を想定しておくべきだ。ここからは、仮にこの情報が真実だという前提で考えていきたい。