要約者レビュー
世の中には、経営者が著者となっている本や、経営者について書かれた本がたくさん出ている。それらの内容はもちろん素晴らしい。だが、世の中のほとんどの人は、必ずしも経営者になるわけではないのではないか。経営者にならない人のほうが、多いのではないか。そのように、著者は冒頭で、執筆のきっかけとなった思いを述べている。
上阪徹、256ページ、インプレス、1600円(税別)
すごい経営者のまわりには、デキる人たちがたくさんいる。社長のビジョンを実現しようと奮闘している、社長の「まわり」の人がいる。その人たちの仕事の進め方から学ぼうというのが本書『社長の「まわり」の仕事術』である。
本書には、特にエネルギッシュで若々しく、勢いのある経営者6人の「まわり」で活躍する13人が登場する。彼らの所属するのは、カルビー、DeNA、ストライプインターナショナル、隈研吾建築都市設計事務所、中川政七商店、サニーサイドアップ、と、まさに今伸び盛りの企業である。
社長の「まわり」の人がどんなふうに社長の意思を汲み取り、自分の仕事に落とし込み、社長の仕事を支えているのか。その仕事術は、世の中の多くのビジネスパーソンからしてみれば、等身大のものとして大いに参考になることだろう。著者ならではの着眼点が光る、斬新なテーマの一冊だ。ビジネス書初心者の方にも、また、巷のビジネス書は読み飽きたという方にも、ぜひおすすめしたい。 (池田 明季哉)
本書の要点
(1) 経営者を支え、コミュニケーションをとっていくためには、工夫が必要になる。言われたことすべてに対応するのでなく、重要度に合わせて対応スピードを変えたり、忙しさを考慮して情報共有は短く正確にしたり、経営者に合わせた方法をとっていく。
(2) 経営者の「まわり」で働くことは、それまでと違う視点を得ることにつながる。たとえば、経営者の「先回り」を心がけることは、必然的に経営者の思考をたどることになり、自身の考え方を成長させる訓練になる。また、経営者のふるまいから、自然とメリハリのつけ方を学びとることもできる。