あなたの会社にも「何であの人が偉くなれたんだろう?」と思われている人がいませんか?

 サラリーマンたるもの、表向きどう言っていたとしても、本音ではみんな偉くなりたい。できれば役員にはなりたいという強い思いがある(最近の若い人には本心から「偉くなりたくない」という人もいるようだが)。出世はビジネス人生そのものの成功の証であるし、ある意味サラリーマンにとっての「ゴール」だ。役員にさえなれば恵まれた天下り先もあり、経済的にも“メリットが大きい”立場なのだ。先月4月はさまざまな辞令が出る時期。妙齢のサラリーマンにとっては、悲喜こもごも入り混じったのではないだろうか。

「第一選抜」とも呼べるトップ(社長)を狙うズバ抜けて優秀な人たちは、役員昇格は確定的なのでそれほど気を揉むことはない。逆に出世レースからはドロップアウトしている人は、自分のやりたいことをやって専任部長になったり、早めに次の人生を考えることができたりして、むしろ幸せかもしれない。一番気が気でないのは、多くの「役員当落線上」にいる人たちだろう。役員になれるか、なれないか…。40~50代のサラリーマンは、あらゆる方面に「おべっか」を使わなければならず、いろいろと大変なのだ。

 このようにサラリーマンの心を揺さぶる「出世」だが、どこの会社にも「何であの人が偉くなれたんだろう?」と不思議がられる人がいる。まともに働いている姿を見たことがなかったり、今は全然使えない人だったり。でも、彼らが出世したからには必ず理由がある。今回はそれを考えてみたいと思う。

「まともに働いていないのになぜ?」
そう思う人が偉くなれた10の理由

1、昔はすごかった

 部長のころは「鬼の営業部長」と呼ばれたなど、過去にはものすごい功績を残しているが、今はボーっとしたただのオジサン。現場には強いけど、上級管理職になったらまったく能力を発揮できない…というのはよくある話だ。

 ローレンス・ピーターは、「組織において、人はおのおのその無能レベルまで昇進する。したがって、組織はいずれすべて無能な人々の集団となる」と提唱した。能力主義で昇進が決まる組織では、「今よりもっと仕事ができる」と判断されればどんどん昇進していく。しかし、「このあたりが限界だ」と思われれば昇進はしなくなりそこでと止まる。したがって、どの組織もそこで止まった無能者で溢れてしまう。これが「ピーターの法則」と呼ばれるものだ。実際の企業でも、まさに彼の説を裏付けるようなことが起きている。