高校野球は二極分化
一部の私立にエリートが集う

 富島高野球部の実情を知れば知るほど、5年で甲子園出場を果たしたチームの成長は奇跡的に思えてくる。練習環境も恵まれているとはいえない。公立高校だから野球部だけを特別扱いできず、グラウンドは他の部と併用。練習時間も限られている。そのハンデを補うため、練習の密度を高めるようさまざまな工夫をしているようだ。また、浜田監督はスパルタ指導をしているわけではない。キャッチボールをはじめとする基本を丹念に行うことが多いという。そうした基本練習は選手にとってつらいものだが、自分自身の成長には欠かせないものと思わせる心の指導も行っている。選手が自ら考え、自発的に成長するよう導いているわけだ。

 今に始まったことではないが、高校野球は二極分化状態にある。野球部強化に力を入れ甲子園出場が当たり前の目標になっている私立と、それ以外の高校だ。前者には才能ある選手が全国から集まってくる。幼い頃からリトルリーグ、シニアリーグなどで硬式ボールに親しみ頭角を現した選手たちだ。腕利きの指導者と整った練習環境によって自らをさらにレベルアップさせ甲子園で活躍。その先にある大学、社会人、そしてプロでのプレーを視野に入れている。そういう選手たちが激しいレギュラー争いをし、勝ち残ったエリートたちがプレーするのだから強いのは当然だ。

 後者も野球部に入る生徒は野球が好きなはずだし、高校の大会に出る以上、甲子園出場を夢に描いているだろう。だが、強豪私立の実力を目の当たりにすると、その夢もしぼんでしまい、楽しくプレーする方向に転換せざるを得なくなる。こうした多数の高校は部員不足も深刻になっている。ひとつの高校では部員が足りず、近隣の高校と連合チームを組まなければ大会に出場できないケースも少なくないのだ。

 連合チームは1997年、統廃合される学校の救済策として高体連が認めた制度だが、2012年からは部員不足で大会に出場できないケースでも適用されるようになった。野球の場合は、部員が8人以下の学校に対して連合チームの結成、あるいは他校から部員を借りて出場することが認められている。