AIの世界も腹八分目が最適
すなわち、目標は70点なわけですから、歴史で70点取れるような元データを用意し、70点取れるための学習をして、ほかの科目でも同様の勉強をすれば過学習には陥らずに汎化がきいた全能型のAIになるわけですが、頑張り過ぎた結果、元データと学習モデルのミスマッチが発生してしまうというのは、熟練した開発者でもついつい犯してしまうミスなのです。
確かに、AIは努力の天才です。飽きることもなければ疲れることもなく、1日24時間、1年365日、学習し続けることも可能です。
しかし、特化型のAIならばまだいいのですが、こと全能型のAIに関しては、頑張り過ぎは失敗に終わることもあるのです。
私たち人間と同様に、「AIの世界も腹八分目が最適」ということですね。
この過学習は、AIに「ディープラーニング」をさせるときに発生するミスなのですが、ディープラーニングをするAIは「子どものAI」。一方で、人が一から教えて丸暗記させるAIは「大人のAI」と呼びます。
同じAIといえども、両者でどれほどの違いが出るのかは、第1回連載の中で「子どものAI」である「Google翻訳」と、「大人のAI」である別の翻訳サービス(X翻訳)に同じ英文を日本語に翻訳させて、まったく異なる結果になるケースを紹介しています。現在一番人気の第2回連載「近い将来、『税理士や翻訳家は失業』という予想は大間違い」と併せてお読みいただけたら、望外の喜びです。