帰るときのあいさつはどうする?
(撮影/佐久間ナオヒト)
岩瀬さん 早く帰ることは決して悪いことではありません。ちょっと視点を変えてみましょう。早く帰りたいと考えたとき、大切なことは何だと思いますか? 2つありますよね。
Bさん 事前に「早く帰りたい」と明確に伝えておくことでしょうか?
岩瀬さん はい、早く帰りたいのであれば、できるだけ早く伝えるべきです。仕事は、予測可能性がすべてと言っても過言ではありません。たとえば、1ヵ月前に言われていれば、上司もBさんも調整できるはずです。
Bさん なるほど、予測可能性ですか。メモしておきます。
もう1つ、わかりました! やるべき仕事をしっかり終えることです!
岩瀬さん そうですね。十分に仕事を終えていないまま、毎日のように早く帰るようでは、仕事への意欲を疑われます。きちんとやるべきことをやっているのであれば、基本的に問題ないはずです。
Bさん やるべき仕事を終えていれば、たしかに問題ないと思います。でも、どうしても仕事が終わらなかった場合には、どうすればいいのでしょうか?
岩瀬さん 新人の場合、「仕事にかかる時間」の見積もり方がまだ甘い人が大半です。どれぐらい残業すれば終わるのか、おおよその見当をつけることもできません。その場合、自分で判断するより早めに上司に相談してください。1時間がんばればできる仕事なのか、どんなにがんばっても3時間かかる仕事なのか。前者の場合は、残業してもいいでしょうが、後者の場合は翌日に回したほうがいいこともあります。仕事の進め方も含め、上司とよく話し合ってください。
Bさん 早くても遅くても、帰るときにどんな顔をして帰ればいいかわかりません。おそるおそる逃げるように帰っています。
岩瀬さん それはよくありませんね。帰るときは堂々と帰りましょう。
働き方改革が叫ばれているご時世なので、以前よりも早く帰りやすくなっているはずです。あえて上司の目線でアドバイスすると、少なくとも上司には事前に言っておいたほうがいいかもしれません。上司にアイコンタクトをしてから「お先に失礼します」とささやいて、スッと会社を出るイメージです。
Bさん アイコンタクト、「お先に失礼します」スッと出る。事前にイメージトレーニングしておきます。ありがとうございました!
※『入社1年目の教科書』の50のルール14「『早く帰ります』宣言する」の要点がわかりました。
次回は、飲み会での「宴会芸」はどうすればいいのか、宴会芸が死ぬほど嫌いな新入社員が岩瀬さんに質問します。お楽しみに。(2018年4月6日更新予定)
ライフネット生命保険株式会社 代表取締役社長。
1976年埼玉県生まれ、幼少期を英国で過ごす。1998年、東京大学法学部を卒業後、ボストン コンサルティング グループ等を経て、ハーバード大学経営大学院に留学。同校を日本人では4人目となる上位5%の成績で修了(ベイカー・スカラー)。2006年、副社長としてライフネット生命保険を立ち上げる。2013年6月より現職。
世界経済フォーラム(ダボス会議)「ヤング・グローバル・リーダーズ2010」選出。
著書は『入社1年目の教科書』『入社1年目の教科書 ワークブック』(ダイヤモンド社)、『ハーバードMBA留学記―資本主義の士官学校にて』(日経BP社)、『生命保険のカラクリ』『がん保険のカラクリ』(文春新書)、『ネットで生保を売ろう!』(文藝春秋)など多数。