「今回も以前と同様、ないところから金融庁などと一緒に議論して、規制や投資家保護などの新しい枠組みを作っていくことになると思う。それも創業時と似ているし、そういう意味で第二の創業と言っています」

「例えば仮想通貨交換業は、現時点で資本規制もないし、レバレッジ規制もない。でもそれは他の金融取引との平仄で考えるとあり得なくて、資本規制やレバレッジ規制は当然考えるべきだと思う。それを一緒になって考えて、金融庁と一緒にどう在るべきかを議論していくべきだと思っています」

 これらの発言からは約20年前、共同経営者を続けていれば数十億円を得る間近だった株式上場直前のゴールドマン・サックス証券を飛び出し、マネックスの創業によって証券のインターネット取引の普及に尽力した松本氏の自負心が垣間見える。何よりネット証券の黎明期に法令や規制などを当事者として金融庁と議論しながら作り上げていったのと同様、仮想通貨に関しても自らイニシアチブを取ってルール整備を進めていきたいとの意向が示されている。

 2つ目は、一定の知名度があるマネックスブランドを活かして、仮想通貨売買の裾野を広げることだ。マネックスは2002年からネット証券大手の中でもいち早くFX(外国為替証拠金取引)のサービスを始めた。そして昨年のインタビューでは、「それまでFXは先物業者が先にやっていたのに流行らなかったが、当社が入ったことで一般化しました。仮想通貨も当社のような存在が入ることで一気に裾野を広げられる可能性があると思っています」と述べている。創業社長として長らく事業を展開してきたマネックスブランドへの強固な自信が映し出されているといえよう。

 ただし、これら2つの“野望”に関しては、この数ヵ月間の環境変化で軌道修正を迫られた可能性もある。1つ目に関しては、コインチェックによるNEMの大量流出を受け、金融庁が明らかに以前よりも「育成」から「規制」への姿勢を強めている影響が大きい。