サントリーHD新浪社長が春闘で「賃上げ」を訴え続ける理由Photo by Yasuyuki Nishii

2018年春闘は、安倍晋三首相自らが「3%賃上げ」を経済界に要請するなど、異例の展開となった。だが、6日現在、企業の賃上げ回答は目標を達成できず終わりそうだ。「デフレ脱却には賃上げを」と、最初に賃上げを唱えた“言い出しっぺ”でもある新浪剛史・経済財政諮問会議民間議員(サントリーホールディングス社長)に「官製春闘」5年目の総括を聞いた。(ダイヤモンド・オンライン特任編集委員 西井泰之)

3%に達しなかった
今年の賃上げ回答

──連合が6日まとめた今年の春闘の賃上げ回答は、平均2.13%と、政府が求めた「3%」には届きませんでした。

 数字だけを見ればまだ不十分ですが、前年やその前の年に比べるとかなり改善されており、産業界全体で「賃上げをしないことには景気はよくならない」「賃上げは今や社会的責任だ」という意識は共有されてきた感じがします。

 人手不足の現状で、優秀な人材を確保するためは給料を上げないといけないという思いが経営者にはあります。そういう意味でも、来年も再来年もと、続けていくことが重要です。

──トヨタのように「賃上げ額」を公表しないまま、全体で「3%をクリアした」とする企業もありました。