「人を見る眼」を持っているお客様

 高価な商品をお求めになるお客様は、それにふさわしい人であることが多いはずです。分不相応に見えたとしても、実は人並みならぬ苦労があったり、とてつもない幸運があったりといったドラマがあります。

 そして、こうしたお客様の多くは、「人を見る眼」が肥えています。

 たとえば経営者で成功した人なら、毎日、何十人という人に会っているでしょうし、社内外の人脈も豊富でさまざまな人間関係を築いているでしょう。

 そういう方々から認めていただくことが、営業の歓びになります。一流の人から「あなたから買う」と言っていただけたら、すばらしい成果だと思いませんか?

 そのための努力をすることですが、そもそも人を見抜くのが得意な人に対して、どれだけ着飾ったところで知れています。こちらの経験や知識は、そういう人からすると浅いものに見えるでしょう。

 だったら、素直に等身大の自分を見ていただくしかないのです。正直さ、一生懸命さ、汗をかき、努力する姿。そういうもので、認めていただくしかないのではないでしょうか。「キミは、そんなにクルマに詳しくないね」と、ある大手企業の会長さんに言われたこともありました。自社のクルマやライバルになる車種などには詳しくても、世界の自動車全般に詳しいわけではなく、またマニアでもありませんでしたので、長年のクルマ好きや、クルマの専門家には敵いません。

 でも、その方とは長年、お付き合いいただき、私からクルマを買っていただいています。わからないことはわからない、知らないことは調べる、教えていただく。そういう素直な姿勢を認めていただいたのです。知識で勝って、「こんなことも知らないのか」といった態度で営業しても、そうそう長くは続かないものです。

 誠実で、謙虚な姿勢であること。これを続けることは、とても大切なことだと思います。