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人生にとって大きな転機となる転勤命令を断ることはできるのでしょうか?2つの事例から転勤のルールを解説します。【後編】(特定社会保険労務士、大槻経営労務管理事務所 三戸礼子)
転勤ケース2「できない理由が、ここにある」
Bさんは首都圏の会社で働く40代の独身男性です。母は75歳で、要介護2。脳梗塞の後遺症で右半身に麻痺があり、日常生活では常に見守りが必要な状態でした。
「会社から、福岡に行けって言われたんだ」
転勤の内示を受けた日、Bさんは自宅で母にその話を切り出しました。母は少し間を置き、申し訳なさそうに目を伏せました。「私がこんな体だから、迷惑をかけるね……」
「母さんは悪くないよ」Bさんはそう答えながらも、胸の奥が重く沈んでいくのを感じたそうです。
今の生活は、在宅勤務と通勤を組み合わせた働き方で成り立っています。転勤すれば、その前提は崩れ、仕事か介護か、どちらかを諦めなければならなくなる――Bさんにはそう思えました。
後日、Bさんは人事担当者に面談を申し込みました。
「感情的に転勤を拒否したいわけではありません。ただ、現実として、今の状況では対応できないんです」
介護認定通知書、主治医の意見書、ケアマネジャーのケアプラン。Bさんはそれらの書類を1枚ずつ机に並べながら、静かに続けました。
「今の働き方でなければ、仕事も介護も続けられません」
人事担当者は黙って資料に目を落とし、しばし沈黙した後、「事情は分かりました」とひとこと。
このケース、Bさんは転勤を拒否できるでしょうか。







