大事なのは「間」

 話し方、表現の仕方は、お客様に合わせます。滑らかで名調子なトークは必要ありません。しかし、正しい言葉遣い、きちんと間を取ること、声のトーンには意識してみてください。

 お客様が早口なら、こちらも早口でもいいですが、お客様がのんびり話すのに、こちらだけ早口というのはうまく噛み合いません。合わせていきます。声のトーンも同じです。

 そして重要なのは、「間」。言葉を発しない時間をちゃんと取るのです。話の得意ではない営業なら、意識しなくても間ができてしまいますが、恐れることはありません。そのほうが、お客様は考える時間が生まれていいのです。

 あまりに弁舌が滑らかすぎて、よどみのないトークを営業が連発していると、お客様は自分で考える時間が欲しくなってイライラしてきます。これはよくありません。

カタログを渡せばすむことをわざわざ……

 よくない若手の典型的な例は、ひたすらカタログを読めばわかるような知識を詳しく、話してしまうケース。カタログを渡せばすむことです。お客様には、カタログではあまり触れていないことをお話するのです。

 私なら、会社の話をします。BMWとは、どういう会社なのか。何度かドイツの本社へ行き、見学もしていますので、その雰囲気や伝統、ステータスを語ります。カタログにはあっさりとしか出ていない話ですし、ドイツへ行ったからこそ感じることもあるので、それがお客様には楽しい情報になるはずです。

「BMWの地元バイエルン地方は、クラフトマンシップを持った革職人が多く、それでシートも絶妙な柔らかさを生み出しているのです」

「BMWは、道路のギャップをわざと感じるように足廻りを設計し、エンジン音も聞こえるようにつくられています。五感で触れることがいちばん安全であり、ワクワクする楽しいドライブができるのです。運転しやすく、視野が広く、トータルバランスに優れた遊び心を持った最高のクルマです」とお話すれば、さらにクルマについてのご案内になります。

 そうすれば、会社、ブランド、商品をお伝えする重要な役割だけではなく、営業自身が、どのような考えで仕事をしているかをわかっていただく機会にもなります。