2011年、日本のマネーフローは転換

 以下の図表は、2011年の日本のマネーフローを海外との間で単純化して示したものである。2011年の特徴は、

・日本への資金流入は債券

・日本からの資金流出は直接投資

 が最大項目になったことにある。すなわち、日本を企業のようにして考えれば、日本は債券で資金調達して、その資金で海外向けの直接投資を行なう状況である。

 日本の債券での調達コストはおおむね1%台であり、一方直接投資による収益率は約6%台で、日本が「投資」によって価値を高めたことになる。2011年は31年振りに貿易赤字がマイナスに転じたことが大きな話題になったが、日本トータルとしての「投資行動」には大きな変化が生じていた。

「草食系日本」に逆転シナリオはあるか<br />“日本化”先進国の日本は“日本化脱却”でも先進国に?<br />――高田創・みずほ総合研究所チーフエコノミスト

日本はバブル崩壊後、
「国家価値」を下げる資金フローだった

 以上の変化は先の図表1の( )内の数字、2010年の数字と比べてもよくわかる。従来、日本を取り巻く資金フローは、

・日本への資金流入は株式

・日本からの資金流出は債券(主に米国債)

 が主という状況が長く続いていた。すなわち、日本はこれまで長い間にわたって株式で資金を調達し、米国債に投資して、投資上の利回りは逆ザヤ状況にあった。