J.フロントリテイリングが恐れる「138のリスク」以上に、もっと怖い2つのリスクとは――。Jフロントといえば、昨年4月に東京・銀座に開業した都市型のショッピングセンター(SC)である「GINZASIX(ギンザシックス)」が順調な滑り出しを見せ、引き続き東阪でインバウンド需要が堅調だったことから18年2月期決算も増収増益を記録した。しかし、好事魔多し。待ち受ける2つのリスクには抗いようがないかもしれないのだ。(流通ジャーナリスト 森山真二)
ギンザシックス好調でも
Jフロントの株価は冴えない
Jフロントの山本良一社長は決算発表の席上、開業以来1年を迎えるギンザシックスについて、目標として掲げた売上高が600億円に到達した模様であることを示唆した。ギンザシックスに建て替える前、旧松坂屋銀座店閉店間際の売上高のほぼ6倍である。
現在は開店当初のような混雑は沈静化しているが、それでもインバウンド、国内の消費者で賑わっている。
当初、ギンザシックスに影響する複合施設と見られていた東京・日比谷の「東京ミッドタウン」は、どちらかというと外食系のテナントが多く、商業系のテナントは極めて少ない。このため物販面ではまったく影響されないことが判明、ギンザシックスは今のところは安泰である。
しかし、ギンザシックスの好調でJフロントの18年2月期業績もまずまずの成績を残しているのに、株価は冴えない。ギンザシックスの開業1年後の売上高実績が明らかになった4月上旬時点で、株価は1600円を割り込んだ。