約3年の月日をかけて、伝説の名著3部作・計4冊2000ページ超が1冊に凝縮された『最強のコピーライティングバイブル』は発売以来第5刷となり、コピーライティングの定番書になってきた。
その中身は、鉄板の法則を「骨」とし、国内成功24業種100事例で解説されている。
数多くの事例を分析してきた著者の横田伊佐男氏は、今回、林修氏の伝え方、に注目した。コピーライティングの見地からその分析結果をこっそり紹介してもらおう。
林修が大事にする「伝え方の順番」
CRMダイレクト株式会社代表取締役。横浜国立大学大学院博士課程前期経営学(MBA)修了。「使えなきゃ意味がない」を信条に、使えて成果につながる戦略立案を徹底的にたたき込む日本唯一のプロフェッショナル・マーケティングコーチ。企業や受講者の課題点をすばやく摘出し、短時間で確実な成果へと引き上げる「超訳力」を駆使したマーケティング研修講座は、上場企業ホールディングス、政府系金融機関、欧州トップの外資系金融企業、意欲ある中小企業経営者等からの依頼が絶えず、これまでの受講者はのべ2万人を数える。著書に、『最強のコピーライティングバイブル』(ダイヤモンド社)など。2016年10月から横浜国立大学非常勤講師(国際マーケティング論)。横浜国立大学成長戦略研究センター研究員。
「いつやるか? 今でしょ!」
このフレーズでブレイクした林修(はやし・おさむ)氏は、一発芸人の如く、一瞬で姿を消していない。意外に息の長いタレントだ。
冒頭のフレーズは2009年に登場したが、10年近く経過した2018年4月現在、林氏は8本のTVレギュラーを抱えている。
しかも、そのうち4本の番組名には、自分の名前が冠付けられている。
こうなると「タレント」というより、池上彰氏に並ぶ「文化人」の立ち位置を獲得していると言ってもいいだろう。
独自の立ち位置をキープし続ける秘密は何か?
なぜ、彼は飽きられないのか?
筆者は、拙著『最強のコピーライティングバイブル』をテキストにコトバの伝え方を教え込んでいる。専門的見地から見ると林氏の伝え方は、絶妙だ。
その秘訣は、とてもシンプル。
「順番」を大事にしているのだ。
林氏は、まず「問い」を作り、わずかな「タメ」の後に「答え」を出す。
いきなり「答え」を出さない。
「問い」→「答え」という「順番」を守っているのだ。
冒頭のフレーズだと、「いつやるか?」と問いをつくり、視聴者がゴクリと固唾を飲んだ瞬間に、「今でしょ!」と答えを出している。
決して「今でしょ!(答え) いつやるかは?(問い)」の順番では伝えていない。
クイズ番組の解説でも、自分の知識で答える時に、この「順番」を守っている。
普通は中々そうならない。
大抵の有識者は、「それ知っています。こうです」と「答え」を先に言いたがってしまう。
ところが、林氏は、「なぜ、こうなるか?」と先に「問い」を作り、「実は、こうだからですよ」と答えを後出ししているのだ。
このシンプルな順番法則は、商品を売る時のセールスコピーライティングにも、まんま当てはまる。
・悪い例:先に「売りたいもの」を伝える。
・良い例:先に「困りごと」を投げかける。次に、「売りたいもの」を伝える。
良い例として、林氏が登場している最新CMで確認してみよう。