売りたいものを先に伝えてはいけない
ちょっと想像してみてほしい。
もし、あなたが、「ゴキブリ駆除製品」のセールス担当だとしよう。
その製品は、ゴキブリ1匹を退治するばかりでなく、集団の巣まるごとを退治してしまう優れものだ。
「集団まるごと退治」が、他社にないセールスポイントというわけだ。
この製品をセールスする際に、セールスポイントは絶対に伝えなければならない。
したがって、競合に先を越される前に、真っ先にセールスポイントを言いたくなる。
ここが陥りがちな落とし穴だ。先の公式にあてはめよう。
・悪い例:先に「セールスポイント」を伝える。
・良い例:先に「困りごと」を投げかける。次に、「セールスポイント」を伝える。
最新のCMから、具体例を見てみよう。商品はKINCHO(大日本除虫菊株式会社)のゴキブリ駆除製品「コンバット」だ。
CMには、これ以上ない最適者がキャスティングされている。
普段から「順番」を励行している林修、その人だ。
CMは、30秒ほどだが「前半」と「後半」に分かれる。
まずは、視聴者の困りごとを問いかけ、明らかにする。
もちろん、セールスポイントには、前半ではご法度にしている。
ここでは、「知ってます? ゴキブリは集団生活することを?」と投げかけている。
そして、いよいよだ。言いたくてしょうがなかったセールポイントの出番である。
「知ってます? ゴキブリは集団生活することを?」と前半で投げかけた答えを、
「この製品(「コンバット」)なら集団まるごと退治できるんです!」と後半戦で満を持して登場させているのだ。
30秒の刹那に、妙に納得してしまうのは、林修氏のキャラクターに拠る部分もあるが、読者が再現すべくマネすべきは、伝え方の「順番」だ。