優秀なエリートには共通点がある。彼らは「真面目に、我慢して、一生懸命」ではなく、「ラクして速く」をモットーに、効率よく結果を出し続けている。まじめさと仕事のパフォーマンスは比例しない。24年間で5万人以上のクビ切りを手伝い、その一方で、6000人を超えるリーダー・幹部社員を選出してきた松本利明氏の新刊、『「ラクして速い」が一番すごい』から、内容の一部を特別公開する(構成:中村明博)

できる人は「水曜」と「金曜」の使い方がうまい

できる人のスケジューリング

 平日は、必ずしも自分の意志で時間調整できるとは限りません。

できる人は「水曜」と「金曜」の使い方がうまい松本利明(まつもと・としあき)人事・戦略コンサルタント。外資系大手コンサルティング会社であるPwC、マーサージャパン、アクセンチュアなどを経て現職。5万人以上のリストラを行い、6000人を超える次世代リーダーや幹部の選抜・育成に関与する。その中で、「人の持ち味に合わせた育成施策を行えば、人の成長に2倍以上差がつく」ことを発見し、体系化する。そのノウハウを、クライアント企業にはマネジメントの仕組みとして、社員には具体的な仕事術へと落とし込み提供。24年間で、外資系・日系の世界的大企業から中堅企業まで、600社以上の人事改革と生産性向上を実現する。自らもその仕事術を実践することで、スタッフからプリンシパル(部長クラス)まで8年という驚異的なスピードで昇進する。現在は、企業向けのコンサルティングに加え、「すべてのムダをなくし、自分らしく、しなやかに活躍できる世界」にするため、「持ち味の見つけ方・活かし方」を、ビジネスパーソンのみならず学生にも広めている。「仕事術」「働き方」などのテーマで、メディアへの寄稿多数。また「日本企業の働き方・賃金改革の在り方」について、英国放送協会(BBC)から取材を受け、その内容は全世界に配信された。

 月曜午前は社内会議、金曜午後は事務作業と決めていても、他の予定が入ってくることもあるでしょう。他の予定に振りまわされずに1週間を効率的にすごすにはどうしたらいいか?

 ポイントは2つあります。

 1つは週の真ん中に「今週の進捗と来週の予定」を考える時間を設けること。30分から1時間程度でOKです。今週のゴールに向けての見通しが立つのが、週の真ん中の水曜なので、このときに打ち手を再考するのです。木曜や金曜になってからでは手遅れで、非効率です。

 水曜になれば、来週の予定も見えてくるので、今週だけでなく、来週のゴール達成に向けた仕込みを冷静に考えられます。ランチタイムを利用すれば無理なく時間がとれるでしょう。

 優秀なリーダーたちのスケジュールを見ると、水曜の昼や夜に、今週・来週のプランを確認・検討する時間が入っていました。

 もう1つは金曜の夜の使い方。残業が多い部署ほど、「土日にとり戻そう」と終電近くまで飲み歩く人も多いものです。気持ちはわかりますが、それでは“ダメリーマン”です。金曜の夜と週末はつながっているのです。

 金曜の夜、終電まで飲んで夜更かしすれば、確実に土曜に響きます。午前中いっぱい寝てしまい、ダラダラすごすことになりかねません。

 できる人は「土曜の午前中」の時間の使い方がうまいのです。朝一でランニングし、運動不足を解消してリフレッシュ。さらに習いごと、勉強など自己投資の時間にあてて差をつけています。事実、ビジネス書が一番売れるのは土曜日です。

 平日の夜はどんなに早く仕事を終えても、その後に使える時間には限界があります。実際、平日の仕事は遅くなることもあるでしょう。土日(休日)に自分に投資することで、レベルアップし、平日の仕事をラクして速く終えられるように差をつけましょう。

 とはいえ、土日すべて自己投資にあてるのは現実的ではありません。金曜の夜は早目に切り上げ、土曜日を有効活用するのです。

■参考記事
「5万人のリストラ」から見えた万年平社員の共通点とは?