日本におけるbillsの運営主体の1つがトランジットジェネラルオフィスだ。同社は「空間創造総合企業」を標榜しており、これまで「DOJIMA HOTEL」などのブランディング、「Sign」「GUCCI CAFE」「AUDI CAFE」などのCAFE運営を手がけてきた。トレンドの仕掛け人とも言われる社長の中村貞裕氏に、パンケーキ人気の秘密と、人を動かすトレンドがどうして生まれるのかを聞いた。

――billsは、パンケーキ人気を牽引してきたと言われていますね。どんな経緯で日本への出店を決めたのですか。

リコッタパンケーキ w/フレッシュバナナ、ハニーコームバター
Photo by Yoshitaka Matsumoto(写真左)
「bills」 七里ヶ浜(写真右)

中村 もともとは七里ガ浜に建設予定だった、リラックスして週末を過ごせるレジデンス(住居)のブランディングを請け負うことから事業にかかわり始めた。商業施設も入ることになっており、そこで思い当たったのがオーストラリアで話題になっていたbillsだ。早速、情報を持っていたサニーサイドアップの幹部とシドニーに飛んでbillsの料理と雰囲気を味わい、レジデンスのコンセプトにピッタリだと感じた。七里ガ浜の海に面したロケーションにも最高に合っている。そこから交渉をスタートし、日本での出店に漕ぎ着けることができた。

――現在のパンケーキ人気をどう分析しますか。

中村 日本には朝食を楽しむ文化がほとんどなかった。スターバックスでおいしいコーヒーを飲むことぐらいだったのではないかな。時を同じくして、エッグスン・シングスなどの朝食を楽しむ有名店が日本に上陸した。Billsだけだったら、今のような人気にはならなかっただろう。

 小さな波と小さな波がたくさん発生して、足しあわされることで、大きな波が発生する。単なるブームは一過性のものとして終わってしまうが、ファストファッションのように海外の有名店が何社も同時に上陸することで、お互いにつぶしあうのではなく、むしろ相乗効果を呼んで人気が定着する。「朝食文化」というものが、大きなトレンドとして定着するのではないだろうか。

――bills表参道は成功すると見ていますか。

中村 これまで3店舗を出店してきたが、店を増やすごとに既存店の売上げは増加している。お客を取り合うことになるのではないかと心配したが、杞憂だった。表参道は近くにエッグスン・シングスもあり、むしろ相乗効果を生むのではないか。また他のbills店舗に行ってファンになってくれた人のために、この店でしか食べることができないオリジナルメニューも用意する。

――中村さん自身は、楽しそうに、生き生きと仕事をしていますね。

中村 僕の原点は、遊び場を作るというところにあります。ファッション、音楽、アート、食をコンテンツとして、人が遊べる空間を作る仕事です。もともとカフェ「OFFICE」から始まって、いくつのもカフェを運営・プロデュースするようになり、次にホテルやレジデンスのプロデュースまで手がけるようになった。仕事をしているうちに自然と幅が広くなっていったのです。

 アンテナをいつも張り巡らし、面白い人と合うことで、いつも一歩先の遊び場を提案できるようにして行きたいと思っています。

週刊ダイヤモンド