どうも対話がうまくいっていないようなのである。その対話不足がコミュニケーションの断絶も引き起こしている。

「職場で孤独を感じることはあるか」という質問に、61%が「ある」と答え、うち「関係性の希薄」「世代のギャップ」「仕事の縦割り」が主な理由だ。

 その孤独感が職場の停滞感を招いているのだろう。こうした停滞感を招く組織風土を変える企業も出てきている。

 01年に国内ビールシェア首位の座をいったん譲ってからは、組織の壁をなくそうと風土改革に挑んでいるキリンビールもその1つだ。

組織の縦・横・斜めを結ぶ
キリンビールの「コーチング」

 09年、横浜工場でビールの醸造担当部長だった野村隆治氏は、あるプロジェクトを立ち上げた。

 生産現場の設備を変えずに、原料から麦汁を造る過程で生産効率を2割上げるというものだった。

 これまでのキリンの社風であれば、野村氏のような上役が「こうしなさい」と指示していればよかった。特に生産現場は上位下達のヒエラルキーが堅固だったからだ。

 しかし、野村氏は全く別のアプローチを取ることにした。プロジェクトリーダーであった2階級下の係長と対話を進めたのだ。

 すると係長は「自分の力だけでは解決できない」という事実にあらためて気付いた。協力が欠かせない設備運転員の力をうまく引き出し、見事に目標を達成したのだ。