人事異動で本社勤務となった課長は、会議に必要な資料作成が得意ではない。そこで部下に作成をお願いする。会議を乗り切った課長は調子に乗り、やがて自分の仕事を部下に押し付けるようになる。ある日、部下からの報告で事態を知った部長は課長と対決するが、「パワハラだ!」と課長に騒がれ、埒が明かない。部長はこの危機をどう乗り切るのか?(社会保険労務士 木村政美)
法人向け大型機器の販売、リース等を扱う営業主体の会社。本社内では担当地域別に営業1課から6課まである。従業員数は約200名。本社の他に支店が2ヵ所ある。
<登場人物>
A:40歳。営業1課課長。支店勤務だったが課長に昇任後、人事異動でこの4月から本社勤務となった。趣味はグルメ。大食いでおいしいものには目がない。
B:50歳。営業部長。
C:30歳。営業1課係長。仕事ができるため課内で頼りにされている。
D:Bの大学時代の同級生で社労士。
課長の主な仕事は部下の指導と担当エリアの新規開拓、そして2週間に1回行われる社内会議への出席と必要な会議資料の作成である。
A課長は前任課長から詳しい業務の引き継ぎを受けたが、ため息ばかりついていた。その様子を見ていたB部長は「A課長はこの仕事が務まるのだろうか?」と心配し始めていた。
会議資料の作成をきっかけに
他の仕事まで押し付けてくるように
A課長が赴任して1週間後、課長以上の管理職を集めて定例会議が開かれることになった。会議に必要な資料作成が面倒になったA課長は、部下のC係長に声をかけた。
「C君、すまないが、明日の会議に必要な資料を作ってくれないか?」
「わかりました」
C係長は手際よく、パソコンで会議の資料を作った。