ワナ5
「自分の価値観や人生観を『絶対』だと思い込んでしまう」

「仕事は内容ややりがいより、安定していることが何より大切」
「女の子は、適当な女子大にでも入って、いい人と結婚するのが幸せ」
「○○大学にも入れないようなヤツは人生の敗残者だ」

 もちろん、どんな価値観や人生観を持っていようと本人の自由で、他人がとやかく言うことではありません。しかし、子供にも、それを押しつけようとするのは、明らかに大きなお世話です。

 人間を長くやっていると、しかも現状にまあまあ満足していると、自分の人生を意地でも肯定したくなります。サラリーマンとして頑張ってきた父親は、息子がサラリーマン以外の道を目指そうとすると、裏切られたような気になってしまいます。

 親が自分の価値観や人生観を「絶対」だと思い込んで子供に押しつけ、それ以外の考え方に耳を貸そうとしないのは、何を隠そう自分のプライドを守りたいからにほかなりません。そのくせ、子供のことを真剣に心配しているような錯覚も抱けますから、まんまとワナに陥っていても、事態の深刻さや罪深さには気づかなかったりします。

「世の中にはいろんな価値観や人生観がある」
「子供には子供の人生がある」

 という大前提があって、あくまで親の好みと自覚して、自分の考えをアドバイスしてあげるのはかまわないと思います。しかし、ムキになって押しつけようとしている自分に気づいたときには、その魂胆のセコさを直視して、多少なりとも恥ずかしさを感じていただければ幸いです。