一貫校は大きく進学校と付属校の二つに分かれる。進学校は当然のことながら、入試を経て大学に進学を目指す学校。一方、付属校は併設大へ優先的に入学できる学校だ。付属校を選ぶと中学入学の段階で、大学までの進学がほぼ決まることになる。
進学校では中高6年間を活用して先取り学習を行い、大学受験を視野に入れた学力を身につけさせることに主眼を置いた教育を展開している。その結果、大学合格の実力が養われていく。それに対して付属校では6年どころか大学の4年を加えた10年にわたり、高校入試だけでなく大学入試からも解放された、ゆとりと充実の教育が展開されている。例えば、付属校では英語だけでなく第二外国語を学べたり、大学の授業の先取り学習があったり、先々を意識した教育が行われている。付属校からの進学者は建学の精神をよく理解しているといういう意味で、大学からはリーダー的存在になってほしいとの期待もある。
併設大への進学を保証しながら
他大学受験を認める「進学・付属校」も増加
このように、かつては進学校と付属校はまったく別のジャンルの学校だった。しかし、最近ではその境界が曖昧になってきている。進学校と付属校の中間的な存在の、言ってみれば「進学・付属校」が増えており、これが人気を集めているのだ。併設大への進学を保証しながら、他大学受験を認める付属校だ。
もともと付属校は併設大への進学を保証してくれるからこそ人気が高かった。90年代前半までは大学入試が厳しく、合格を勝ち取るのはひと苦労だったからだ。ところが、1992年をピークに18歳人口は減り始める。その一方で大学数は2倍近くに増え、大学には年々入りやすくなっていく。
そうなると、大学入試が厳しいから付属校を選ぶという価値が低下する。併設大が一般入試でも容易に入れる大学ならば、わざわざ中学から進学させることはないという考えが広まり、難関大学を目指す進学校の人気がアップしたのだ。こうして、まだまだ入試が厳しい慶應義塾大や早稲田大など、一部の難関大付属校だけが人気突出する現在の序列が出来上がっていった。