詳しい気象情報は、実はあらゆる分野で求められています。例えば、衛星データや他のデータをもとに、雷だけを追いかけている企業があります。何を目的としているのかというと、ゴルフ場に雷情報を提供しているのです。
ゴルフをしている際に雷が来てしまうのは、ゴルフ場もプレーヤーも恐れるところ。そこで、ピンポイントで雷情報を提供するサービスをスタートさせたのです。
こうしたピンポイント情報は、あらゆる場面で求められています。建設会社が大規模な現場で作業をする際には、現場の詳しい天気を知りたいでしょう。また、イベント会社がイベントを開催する際には、その場所の詳しい天気を知りたい。
コンビニエンスストアが、商品発注量の判断や流通に気象データを活用しているのは有名な話です。梅のおにぎりは暑い日に売れる、寒くなったらおでんが売れるなど、コンビニに並ぶ商品のバランスは、天候が大きなヒントとして用いられているのです。
今は衛星を使った精度の高い気象情報が手に入ることで、こうしたニーズに応えることができるようになっています。
気象情報は健康にも関係してきます。医学分野では、気象が人間の生体へ与える影響を研究する生気象学で、医学的な見地から気象変化と人体との関連性についての研究が行われています。天気予報と、個人が抱える持病などの情報を組み合わせた健康管理の助言を行う健康予報事業が拡大しています。
また、例えばプロのスポーツ選手は、気象情報を収集しています。湿度が少し上がっただけで健康状態は変化しますから、トレーニングの方針を変えたり、試合での戦い方を変えたりするのです。
一般的な気象情報は基本的に無料ですが、自分たちの事業や活動に必要なピンポイントでの詳しい気象情報は有料でもニーズが高く、多くの気象情報サービス会社があると言われています。こうした企業が、小型衛星からの気象情報の市場を拡大していくのです。
このように、気象衛星から得られる気象情報は、地球上のあらゆる活動に関わり、データアナリティクスやビッグデータとの融合で、社会的、経済的に増大する需要に対応し、気象情報をビジネスに変え、新しい価値を生んで市場を拡大しています。