宇宙からすべてが見える!?
丸見えの「地球観測データ」は経済活動を変える

 地球の周りを周回している衛星からは、さまざまなデータが地上に送られてきます。写真データなども含め、こうした地球の観測のことを「リモートセンシング」と呼んでいます。リモートセンシング技術は近年、大きく向上し、本当にいろいろなことができるようになってきました。

 例えば、地図情報を組み合わせることで、自動車の自動運転に結びつけることができます。交通は、衛星データが大きく活きてくる領域です。

 例えば、バスの運行状況が適切なのかを把握する。どの時間帯が混むのか。どの時間帯が利用者が少ないのか。そうした状況を把握することで、最適な時刻表づくりにつなげたりすることができます。

 また、ショッピングセンターに出入りする車の流れを把握することで、経済活動も読み取ることができます。どの時間帯にどのお店が混むのか。車の流れはどうなっているのか。そういったことを分析して、地域経済の活性化に活用することもできるようになります。

 陸地だけではありません。海上の船舶の動きも見えますので、船の監視や事故の防止、不法船の取り締まりなどにもつなげていくことができます。

 資源関連のビジネスにも、活用されています。シベリアなどでは、石油を運ぶために長いパイプラインが敷設されている地域があります。あまりにも長距離なので管理をするのが大変なのですが、これを衛星で監視しているのです。

 どこかで石油が漏れていると、周辺の温度が変わったり、植物の様子が変わったりします。それらを衛星がキャッチして、すぐに通知してくれるようになっています。メタンガスを観測する小型衛星ベンチャーは、まさにこのようなメタンエミッション(放出)に貢献します。

 世界のオイルタンクを衛星の目で見れば、石油貯蔵の状況を把握することができます。

 衛星の目で経済状況の把握、未来予測をすることは、外交をしていく上でも相手国を知ることができるツールになるのです。

 また、自然発生する火事、ワイルドファイアなどでも衛星は力を発揮します。とてつもなく広い面積が燃えてしまうこともありますが、自然が相手ですから、なかなか打つ手がないのが実情です。

 こうした災害の場面でも、気象情報に加えて実際の地形などから予測を立てたり、影響範囲を正確に読み取ったり、次にどのような手を打てばいいのか、対策を立てたりすることにも役立ちます。

 もちろん、山火事が起きたりしないよう、防災の場面でも衛星データは生きてきます。衛星はトラウトと呼ばれる干ばつの対策にも使われ、広い範囲のダムなど、水資源を衛星から把握し、干ばつが起こらないよう綿密に管理されています。