防犯にも活用されています。危険な地域を宇宙から監視して、犯罪の抑止につなげたりします。テロでは、パイプラインや空港が狙われたりしますが、そうした広い範囲を宇宙から監視するのです。
小型衛星のコンステレーションなどを用いれば、連続した静止画像もまるで動画のように見ることができます。しかも、衛星ですから広範囲を見ることができ、画像の精度は高まっています。
大型衛星では、21センチ四方まで宇宙から見えるようになっています。アメリカでは、こうしたデータも販売していいという法律をつくっています。実際、アメリカでこのビジネスを進めているのがデジタルグローブです。もちろんデータポリシーがあり、敵国に販売しないなどの制限を設けています。
日本でも、2016年に衛星リモートセンシング法ができました。この法律は、衛星リモートセンシングデータの適正な取り扱いを確保するために順守するべき基準を明確にしたものです。これにより、衛星データを活用した宇宙ビジネスが促進される環境が整いました。
ちなみにアメリカでは、軍は軍事衛星を打ち上げる一方で、民間の衛星のデータも買っています。それだけ高いレベルのデータを民間が持つようになってきているということです。
そして、もちろん通信衛星を打ち上げれば、通信ネットワークにつなげることができます。地上に大掛かりな基地局がなくても、レシーバーで宇宙に打ち上げられた小型通信衛星を使って、インターネットに接続することができるようになります。
日常でインターネットを使うのが当たり前の世の中ですが、世界を見回してみると、40億人がアクセスできない環境にあります。インターネットが社会を変え、経済発展を促すことは言うまでもありません。
(この原稿は書籍『宇宙ビジネスの衝撃――21世紀の黄金をめぐる新時代のゴールドラッシュ』から一部を抜粋・加筆して掲載しています)