後藤医師らの、再生医療による尿失禁治療は、予算の関係でまず、男性の腹圧性尿失禁を対象に、2年後を目標に、保険収載と実用化の準備が進められている。

 女性の腹圧性尿失禁については、効果的で侵襲性の低い手術が既にいくつもあるが、男性の場合はそうではないので、「最初に男性から」ということらしい。

 この再生医療が保険で受けられるようになり、普及すれば、尿失禁で悩む男性がどっと減るだけでなく、認知症や寝たきりになる人も減らせるだろう。シロウト考えだが、前立腺手術を受ける際に男性が尿失禁以上に気にする「ED」の治療にも応用できるのではないだろうか。

「今、再生医療で保険が認められている治療は、大阪大学の心筋シートぐらい。我々の治療法は、非常に画期的です。ただ現状の治験では、治療によって尿漏れがゼロになった人もいますが、完全には回復しない人もいます。尿失禁量が70%減って、尿漏れパットを1日5〜6枚使っている人が1日1枚になったとしても、不満足な患者さんはいるでしょう。そこがQOL疾患のむずかしいところで、治療効果を上げるよう努力しています」

 課題は残っているにせよ、人間の尊厳にかかわる尿失禁が、わずか3時間足らず、しかも注射だけの治療で回復できるとは、すごい朗報だ。

 なお、この男性腹圧性尿失禁に対する再生治療は、医師主導治験として行われ、2018年3月で予定症例の組み入れを終了し、1年の経過観察後、実用化と保険収載に向けて医薬品医療機器総合機構(PMDA)および厚生労働省に申請予定である。従って、治療効果と安全性が承認され、薬事承認が得られるまでは今後の治療は実施することができない。