説明を受けるシニア夫婦写真はイメージです Photo:PIXTA

NISAやiDeCoといえば長期の積立投資が前提とされるため、「高齢になってから始めても意味がない」と思い込んでいる人は少なくない。しかし、国が老後の資産づくりの柱として整備してきたこれらの制度は、実は定年間際で始めても遅くない。60歳から老後資産2000万円をつくるには、どうすればいいのか?※本稿は、特定社会保険労務士の首藤由之『これだけ差がつく!老後のお金 55歳から15年で2500万円をつくる』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を抜粋・編集したものです。

NISAとiDeCoで
老後資産は賄える

 NISAは資産運用立国の象徴として2024年から大幅拡充されました。

 iDeCoも今なお変わり続けています。2025年中に、これまで「65歳まで」だった加入可能期間が2027年から「70歳まで」に延長される予定です。また同じく2027年から拠出限度額も引き上げられる予定です。

 平均的な50代の会社員の方ならこの2つの制度を利用するだけで十分に老後資金が賄えます。

 さっそくシミュレーションをしていきましょう。

 iDeCoは、勤めている会社に企業年金があるかないかによって拠出限度額が違ってきます。現在の制度に改正後も見通して、「月額2万円」と「月額6.2万円」をそれぞれ積み立てる場合を考えます。

 NISAは、「年間120万円」の「つみたて投資枠」を考えます。個々人によって投資できる金額は変わってきますが、50代の皆さんは比較的大きい金額を投資できるはずです。月5万円と10万円の2ケースについて考えることにします。

 投資期間はともに最長20年で、iDeCoが70歳まで加入可能になる改正を前提にしています。ただし、NISAは毎年「つみたて投資枠」を目いっぱい使うと15年で生涯投資枠1800万円の上限に達してしまいます(120万円×15年)。この場合はその後の5年間はニューマネーを出さずに運用だけ続けるものとします。