「グローバル仕事人」から見た
セクハラ、パワハラが起こる原因とは?

 なぜ、セクハラやパワハラは起きるのでしょうか。この原因については多くの社会学者の方々が研究して論文なども発表していると思いますが、ここでは「グローバル仕事人」である私なりの考えを述べたいと思います。

 私自身、実は何度かセクハラやパワハラの相談を受け、結果的に告発する手伝いをしたことがあります。

 ハラスメントの被害に遭われた方々から話を聞いて強く思ったことが、ハラスメントの背景には「人間同士の精神的な距離感の認識の違い」が根底にあるな、というものでした。被害者から見た加害者との精神的な距離感は、加害者側からの認識よりもはるかに遠いのものです。多くの場合、加害者は被害者が思う「ここから先には入ってほしくない」という精神的な領域を平気で越えてきて、精神的なダメージを与えています。

「この人に対して、これくらいは言ってもいいだろう」
「自分だったら、この行動は許されるだろう」
「立場を考えれば、相手はこれを受け入れるのが筋だろう」

 加害者はこのような自分の目線だけで相手との距離感を判断して、結果としてハラスメントに至ってしまうわけです。特に、いまだに多くの日本の組織では年功序列の構造があり、年次によるヒエラルキーを異常なまでに重視する傾向があります。そうすると「先輩」「上司」という立場を錦の御旗にして、やりたい放題の行動に出てしまう人間が現れてしまうのです。

 また、きわめて偏った「お客様は神様論」を振りかざして、「カネを払うんだから言うことをきけ」という態度で営業担当者などに対して、やたらと権利意識をぶつけてくる人も数多く存在します。

 これも、相手との距離感の見誤りにほかなりません。顧客として支払う金額の中には、ハラスメントを行う権利は含まれていないのです。このような意識のズレを明確に認識すれば、本来、ハラスメントは避けられそうなものなのですが、残念ながら加害者側が「相手との距離感にズレがある」と認識することはほとんどありません。結果として、事態がかなり悪化してからその事実が明らかになってくるのです。