Photo by Masato Kato
2025年のインバウンドは訪日外国人旅行者数と消費額共に、過去最高を達成する見込みだ。一方で、日中関係の緊張により、中国からの旅行者が激減した。では、26年の観光業界はどうなるのか。特集『総予測2026』の本稿では、星野リゾートの星野佳路代表に、日本の観光業界が抱える問題と解決策を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 下本菜実)
中国が減っても他が伸びる
全体への影響は軽微
――中国外務省は自国民に日本への渡航を控えるよう呼び掛けています。インバウンドへの影響はどの程度あると見ていますか。
2024年度の国内旅行消費額は34兆円でした。そのうち、インバウンド消費額は8兆円で、中国が4分の1を占めています。キャンセルが相次いでいるのは、主に団体ツアーで、これは中国からの旅行客のうち約半分。インバウンドが4分の1になると騒がれていますが、計算すると、減少幅は国内旅行消費額全体の2~3%なんです。
一方で、オーストラリアからの訪日観光客は25年、初めて100万人を突破するとみられています。中国からの訪日客が減っても、インバウンドに大きな影響が出たり、オーバーツーリズムが一気に解消したりすることもないでしょう。
前提として、インバウンドを伸ばしていく上で、一つの国に依存すべきではありません。今回の一件は、それを広く認識するチャンスだと思います。
――観光庁は地方へのインバウンド誘致を掲げています。課題はどのような点にありますか。
国土交通省の宿泊旅行統計調査によると東京、大阪、京都のほか、北海道、沖縄、福岡の6都道府県にインバウンド観光客の約75%が集中している。他の都道府県に観光客を呼び込むにはどうすればいいか。星野代表が、インバウンドの分散化の課題と解決策について語った。







