部下の“辞めたいサイン”を見逃さない

 仕事をしながら「他責」傾向を強め、モヤモヤ状態を続けている部下も、自分から「モヤモヤしています」と手を挙げたり、声高に主張したりすることはほとんどない。明らかな意思表示をするのは、「退職届」を出す時である。

上司としては、部下から「辞めたい」と申し出られる前に、部下の『他責思考→悩みブレーキ→辞表プロセス』から発せられる“辞めたいサイン”に気づき、根本的な原因に取り組んでいくことが大切だ。

実は、彼らの“辞めたいサイン”は、普段の様子から見て取ることができる。下の図のように、上司から調子を聞かれた部下は大抵「大丈夫です」と答えるが、実はその表情や行動には、「表情がイキイキしていない」「作り笑顔」「行動に積極性がない」など、言葉とは違った心の状態が潜んでいる。

 たとえば、飲食店でもそれに近い状況を知ることができる。店員の発する「いらっしゃいませ」や「またお越しください」のひと言も、心からのもてなしや感謝から言っているのか、ただマニュアルに従って言っているかは、その表情や行動から感じることができるはずだ。

 同様に、部下の表情や行動も、場合によって別な思いや心理状態を反映していて、それらを感じることができなければ、チームマネジメントをすることはできないし、部下の突然の(実は突然ではない)「辞めます」の言葉に驚くだけになってしまう。

“熟年離婚型退職”の上司にならないために

 部下のこうした“辞めるサイン”は、実際に退職を申し出るかなり前から発せられているのだが、「給料をもらっているのだから、プロとして、やりたいやりたくないではない」「指示された仕事をするのは当然」と、自分の成功体験や価値観・仕事観を一方的に押し付ける上司は、部下の仕事の一面だけを見て、部下本人を見ていない。そのために、部下の発するわずかなサインを察知できない。

 下の図の「インサイド:アウトプット ギャップ(2)」の図を見ていただくと、人間の心の中と、実際の表現されている状態のレベルには差があることが分かる。両サイドのサルワカゾーンであれば、誰でもその人がどんな心境であるかが分かるが、中間のサイレントゾーンでは、感じることができる人と全く感知できない人が出てくる。

 この微妙なサイレントゾーンでのサインを感知し、対応できる能力が、リーダーのマネジメント能力で必要とされる、EQやフォロワーシップの要素でもある。