今の年金制度では
個人の自助努力は必須

 年金受給年齢の繰り下げにまつわる制度変更の話が持ち上がると、“年金財政の破綻”を懸念する人もいるだろう。

「今の制度は、年金財政が健全化するまで給付を段階的に下げていく仕組みです。この仕組みが効いているうちは破綻しません。しかし、当然ながら少子高齢化が進めば進むほど、1人当たりが受け取れる年金の水準は下がっていきます。年金だけでは生活費が足りない水準になれば、自助努力しか方策はありません」(中嶋氏、以下同)

 財政破綻は回避できても、資産構築や貯蓄ができなかった個人にとっては、老後の危機である。「国に頼らずに自分の身は自分で守る姿勢」の必要性は、中嶋氏も同意する。

「個人の公的年金の保険料を増やして給付の引き下げを回避する改正は、過去にも議論されてきたことです。しかし、経済界や労働組合も負担増加に否定的だったことから、結果的に2004年の制度改革で、保険料は増やさずに受給額を減らすことで破綻を防止する仕組みになりました。よって、高齢期を年金だけに頼るのではなく、自己防衛に意識をシフトすることが必須だと言えます」

 自己防衛手段のひとつ「個人型確定拠出年金(iDeCo)」は自営業者だけではなく、会社員でも税制が優遇される。この“うまみ”もあって、今年1月時点で加入者が78万人を超えて増加傾向にあり、また、会社員が投資信託で資産形成に取り組む様子を記した書籍やブログも多く目にするようになった。

 自営業であれば「国民年金基金」や「小規模企業共済」もある。まずは、すでに用意されている制度、そしてそれを活用している事例を積極的に吸収することから始めることが、自助努力の一環であるといえるだろう。