確かに、「またイチから始めなきゃいけない」というのはその通りだ。だが、定期を解約してまた200万円をイチから積立始めるのと、オートローンで200万円を借りて返済するのとは全く同じ行為だ。違うのはオートローンを利用することによって、定期でもらえる200倍もの金利を支払わなければならないということだ。

 かつてのように、定期預金の金利が3%とか4%という時代であれば、中途解約することで受け取る金利が大幅に下がってしまうということはあった。そういう時代のことがまだ頭の中にイメージとして残っていて、「定期は中途解約すると損」という感情が刷り込まれているのかもしれない。

金融商品を利用する際は
「感情」ではなく「勘定」で

 しかし、「感情」ではなく「勘定」で判断すれば、何ら問題はない。何せ、現在では定期預金も普通預金もほとんど大差はないのだから。実際には金利を惜しんだり、感情に揺さぶられたりすることで、もっと大きな損を呼び込んでしまいかねないという現象が起こってしまう。

 このように、目先の損を嫌うあまり、もっと大きな損をしてしまうということは日常生活においても至るところで見受けられる。大事なことは、イメージや感覚で判断してはいけないということだ。特に金融商品を利用する際の選択にあたっては、冷静な計算が必要だ。決して、難しいことを言っているわけではない。自分が出す金額に対して、見返りとして得られる金額がどれぐらいあるかを考えればいいだけだ。

 買い物や食事のような消費行動であれば、それほど気にすることはないかもしれない。損得よりも、自分の好みを優先した方が楽しいからだ。しかし、貯蓄や保険、投資、そしてローンといった金融商品や金融サービスの選択にあたっては、冷静に考えて計算することが必要だろう。

(経済コラムニスト 大江英樹)