欧米などで反対運動が起きないのは
路上でタバコ吸い放題だから!

 この連載で幾度となく触れているが、ヨーロッパやアメリカなどの先進国はもちろん、「喫煙大国」の中国やロシアでも今や、ほぼ例外なく「飲食店全面禁煙」だ。バーとかスナックとか小規模の店云々は関係ない。しかも、このような規制がかけられる際に、「お客様の楽しみを奪うな~」なんて反対運動もそれほど起きず、スムーズに導入されている。

 これは民度・文化の違いなどではなく、ごくごく単純に「外でたばこがたくさん吸える」ということに尽きる。欧州などに旅行に行けば、路上にあふれる吸い殻に驚く人も多いだろう。つまり、よく言われる「世界では飲食店全面禁煙が常識」というのは、裏を返せば、「世界ではたばこは飲食店の外で吸うのが常識」ということなのだ。

 そこで不思議なのは、なぜ日本にはこの「常識」が根付かなかったのかということだ。

「そりゃ、日本人は“おもてなし”に代表されるように、周囲への気遣いやマナーがしっかりとしているから、屋内での喫煙も文化として受け入れられていたんだ」「日本はよその国みたいにギスギスしてなくて大らかだったんだ」とか都合のいい解釈をする人もいるかもしれないが、そういう美しい話ではなく、喫煙者のマナー違反によって、受動喫煙を超える「実害」が社会に出たことが大きい。

 1960~70年代、たばこのポイ捨てや、不始末による火事が多発した。「朝の一服で、ドカン、ガス爆発、大やけど」(読売新聞1975年12月26日)というニュースが日常的に流れ、たばこのポイ捨ては人命にかかわる問題として、社会全体が厳しい目を向けた。

 比較的、喫煙者に優しい「読売新聞」でも、1970年~74年の間に、読者投稿欄『気流』に「車から火つきたばこ」「くたばれ、たばこの吸いがら公害」なんて投稿が14件も載っている。

 この世論に押される形で、国や自治体が動き出す。1975年から国鉄では、毎月第2金曜日を「ステナイデー」と名付けて、たばこの吸い殻を掃除するというキャンペーンを開始した。