課長クラス以上のマネジャーにとって「会議術」は、チームの生産性を上げるために必須のスキルです。ところが、私たちには「会議術」を体系的に学ぶ機会がほとんどありませんから、悩んでいるマネジャーも多いのではないでしょうか? そこで、ソフトバンク在籍時に「会議術」を磨き上げ、マネジャーとして大きな実績を残した前田鎌利さんに『最高品質の会議術』(ダイヤモンド社)をまとめていただきました。本連載では、その内容を抜粋して掲載してまいります。
「提案書」を変えれば「会議」は変わる
私は、ソフトバンクのマネジャーになったとき、1時間の定例会議を「30分会議」に変更しました。「30分会議」の前半15分を「情報共有」などの「インプット」に使い、後半15分を「ディスカッション→意思決定」を行う「アウトプット」に使うことにしたのです(連載7回参照)。
そして、会議とは「意思決定」することが目的ですから、最も重要なのは後半の「アウトプット」のパート。この短時間にどれだけ多くの「意思決定」ができるかが、「会議の品質」に直結するわけです。
そのために、私は次のような時間配分をメンバーに徹底しました。
提案者のプレゼンテーションは「3分以内」。その後のディスカッションは「10分以内」。その時点で、マネジャーの私が意思決定をするのです(下図参照)。
もちろん、プレゼンは1~2分でもOK。プレゼンは「簡にして要」が鉄則。3分以内でその条件を満たすならば、短いほうがよいのです。
そして、ディスカッションも、必ずしも10分をかける必要はありません。提案に対して参加メンバーから異論がなければ、即座に意思決定をすればいいので1分で終わることもあります。意思決定の「質」さえ担保されるのであれば、ディスカッションも短ければ短いほうがよいのです。要するに、会議での発言を「短く的を射た」ものにすることで、意思決定までの時間を最短にすることが重要だということです。
そのためには、どうすればよいか?
私は、パッと見た瞬間に提案内容を把握できるような提案書をつくるのがベストだと確信しています。
なぜなら、プレゼンは提案書に添って行うものだからです。いわば、提案書はプレゼンの“台本”。この“台本”がシンプルであれば、自然とプレゼンも短縮化されます。そして、提案の要点や論点が他の参加者に即座に伝わることによって、その後のディスカッションも的を射たものになる。結果、意思決定に要する時間が最短化されるのです。