「このままでは、東京湾でのバンカリング拠点構想は立ち行かない」(海運業界関係者)。そんな心配の声をよそに、住友商事は強気だ。実は水面下で、「LNGバンカリング拠点として袖ケ浦基地を利用する方向で、東京ガスから合意を得ている」というのである。

 一方、東京ガスは住友商事などに袖ケ浦基地の情報提供などをして連携する方針は認めたものの、「事業への参画は検討中」と、どこまでも及び腰だ。

「われわれがLNGバンカリング拠点を整備したって、それを利用するLNG燃料船が一定数なければ事業化は望めない」(内田高史・東京ガス社長)と、東京湾でのLNGバンカリング事業の採算性に懐疑的なのだ。

中電・東電の色気

 ただし、荷主さえ付けば東京湾の状況は一変する。「本来、船の往来が盛んな東京湾の方が中部地区よりポテンシャルは高い」(中部電力幹部)。中部電力が、東京湾陣営への参画に色気を出しているのも厳然たる事実だ。

 また、「事業の採算が取れるなら、東京電力との火力発電・燃料調達部門の合弁会社であるジェラを使って、東京湾のバンカリング拠点の整備に乗り出したい」(同)と構想を語る。東京ガスが煮え切らない間に、中電・東電連合のような他のエネルギー会社が機先を制する可能性は否めないのだ。

 政府肝いりのLNGバンカリング拠点の整備案だが、国際供給拠点になるまでの道のりは遠い。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 松野友美)