社長を取り巻く環境が激変
身を守る“三種の神器”が奪い取られた

今、日本の社長を取り巻く環境が激変している。その背景は大きく三つある。
一つ目は、「物言わぬ株主」といわれた、社長にとって都合のいい存在が絶滅しつつあること。国を挙げての大改革で「物言わざるを得ない」状況に追い込んでいるからだ。実は、その成否に私たちの老後の生活が懸かっている。
物言わぬ株主といわれてきた機関投資家の代表格が信託銀行や保険会社などの金融機関だ。株主は株主総会で議決権という投票権を使って企業に意見表明をする。しかし、金融機関にとって株を持つ企業はビジネス上の“お得意さま”でもあるため、企業にとって都合の悪いことには目、耳、口をふさいできた。
ところが、彼らが持つ株の多くは「アセットオーナー」と呼ばれる公的・企業年金基金などから預かったお金で買ったもの。さらに原資をたどれば、私たちの家計に行き着く。つまり「本来の株主」は私たち。「間接的で実感しにくいが、国民全員が企業の株主」(国内機関投資家)なのだ。