視野を広げるきっかけとなる書籍をビジネスパーソン向けに厳選し、ダイジェストにして配信する「SERENDIP(セレンディップ)」。この連載では、経営層・管理層の新たな発想のきっかけになる書籍を、SERENDIP編集部のシニア・エディターである浅羽登志也氏がベンチャー起業やその後の経営者としての経験などからレビューします。
名門「レアル・マドリード」は
15年前に破産寸前に陥る
熱戦が続くFIFAワールドカップロシア大会。19日の日本代表初戦の見事な勝利の余韻が、まだ残っているのではないだろうか。
今大会では、開会2日目のグループステージで、いきなりポルトガルとスペインという強豪同士が対戦し話題になった。
結果は3-3の引き分け。ポルトガルは、世界最高のプレーヤーの1人とも称えられるFWクリスティアーノ・ロナウド選手がハットトリックを達成するなど大活躍だった。
ご存じの通り、ロナウド選手はレアル・マドリード(以下、レアルと表記)に所属している。レアルはスペインのクラブなので、きっとスペインのサポーターは、ポルトガル代表としての彼の活躍も誇りに思っていたのではないだろうか。
スペイン代表チームにもレアルに所属する選手は多い。それに、今大会開幕直前の6月13日に電撃解任されたスペイン代表監督のフレン・ロペテギ氏は、レアルの監督就任が決まっている。ちなみに後任のスペイン代表監督は現役時代レアルの主将だった。
スティーヴン・G・マンディス 著
酒井 浩之 監修
喜多 直子 訳
東邦出版
1,800円(税別)
レアルは、スペインが誇る名門であり、世界最強のクラブの1つだ。サッカーにあまり詳しくない私のような人間でも、その名を知っていることだろう。
レアルの前身であるマドリード・フットボール・クラブが誕生したのは1902年。以来、歴代最多の計13回の欧州リーグ制覇を達成。2000年から始まったFIFAクラブワールドカップでも、2016年と2017年の連続優勝も含め、FCバルセロナと並ぶ歴代最多3回の優勝を果たしている。
本書『THE REAL MADRID WAY レアル・マドリードの流儀』は、レアルの強さの秘密を、スポーツマネジメントの側面から解き明かした一冊だ。
著者のスティーヴン・G・マンディス氏は、ゴールドマン・サックスに勤務後、コロンビア大学で博士号を取得。現在はコロンビア大学経営大学院のスポーツ経営プログラムの非常勤教授を務めている。
ゴールドマン・サックスの文化に起こった変化とその背景を意欲的に分析した著書『What Happened to Goldman Sachs』(未邦訳)は、「アクシオム・ビジネス・ブック賞」企業史部門でゴールドメダルを受賞している。