先月下旬に千葉県内で行われた代表合宿から、吉田はこんな断りを入れた上で、ロシアの地で実践すべき守備の3ヵ条を、自らに言い聞かせるように唱えていた。

「相手にスペースを与えない。前を向かせない。それらを90分間やり続けられるかどうか」

 マネだけではない。ポーランド戦で2点目を決めたFWエムバイェ・ニアン(トリノ)は、184cm、74kgの巨体からは想像もできないほどの爆発的なスピードを何度も披露。代表チームでほとんど結果を残していない23歳は、情報が少ない分だけ、今後対戦する日本やコロンビアに衝撃を与えた。

 異次元のスピードを武器とするセネガルに対して、中途半端に最終ラインを上げればどのような事態を招くか。背後に広がるスペースへマネやニアンに抜け出されたら、間違いなく追いつけない。かといって最終ラインを下げすぎればセネガルに波状攻撃を食らい、やがては守備網が決壊してしまう。

 上げすぎず、なおかつ下げすぎない。試合状況を正確に把握しながら、吉田には最終ラインの位置取りを絶妙のバランスで操作する、極めて緻密な仕事が求められる。一人ではなく複数で対峙するためにも、味方同士の距離もコンパクトに保たなければならない。

 加えて、セネガルのセットプレー時には、高さという脅威が新たに加わる。ニアンと2トップを組む185cm、81kgのマメ・ビラム・ディウフ(ストーク・シティ)に加えて、195cm、89kgのカリドゥ・クリバリ(ナポリ)、196cm、84kgのサリフ・サネ(ハノーファー)の両センターバックも、空中戦を制しようと日本のゴール前にそびえ立つ。

 セットプレー時に日本はマンツーマンで守る。平均身長では大きく劣るだけに、189cmの最長身を誇る吉田の存在がここでもクローズアップされてくる。ヨーロッパで最も激しい肉弾戦が繰り広げられるプレミアリーグで、6年間も戦い続けてきた自負が吉田を支えている。

「ワールドカップだからこうしようではなく、常日頃から実践してきたことの積み重ねがワールドカップという舞台で出る。そこを意識してやってきたし、だからこそプレミアリーグでプレーしてきたし、毎週のようにそういう相手たちと戦ってきた。だからこそ、いつも通りに戦うだけです」