頭がちぎれるほど考え抜かれたネーミング
4大コースター(絶叫マシン)は、乗ってみればわかるが、「恐怖」と「楽しさ」が同居している。
現地調査日の4大アトラクションは、平日にもかかわらず、平均90分待ちの行列だった。
乗る前は「恐怖」が勝り、乗った後は「楽しさ」が残る。
つまり、長蛇の列の最後尾に並ぶ瞬間、「恐怖」のハードルを超えなければならない。
リピーターはともかく、初めての利用者にとって、恐怖に打ち勝ってなお、惹きつけられる要素が必要だ。
そこで、ある工夫に気付かされた。
4大コースター(絶叫マシン)をはじめ、数多くのアトラクションのネーミングが、頭がちぎれるほどよく考えられているということだ。
共通して「デジャブ(既視感)」が使われている。
4大コースター(絶叫マシン)のすべてが、すでに聞いたことがあるコトバなのだ。
それぞれ、「ネーミング」「特徴(キャッチフレーズ)」「筆者分析」の順で解説しよう。
ド・ドドンパ
●ネーミング:ド・ドドンパ
●特徴:発射1.56秒で時速180km!天井知らずのスピードキング!
●筆者分析:マンボが源流の音楽ジャンル「ドドンパ」に由来。「ド迫力」で「ドドドー」と世界一の加速で進む様を表現している。
高飛車
●ネーミング:高飛車
●特徴:最大落下角度121度の最恐コースター!
●筆者分析:将棋戦法の「高飛車」にちなんだ、上から目線の高圧的態度に由来。高いところからの落下恐怖と掛け合わせて表現している。
ええじゃないか
●ネーミング:ええじゃないか
●特徴:総回転数世界一!グルグル回して700万人!
●筆者分析:江戸時代末期の民衆騒動「ええじゃないか」に由来。「ええじゃないか」騒動の手足を使った踊りが、乗車中のコースターに固定されない手足の動きと酷似していることを表現している。
FUJIYAMA
●ネーミング:FUJIYAMA
●特徴:怖さ世界レベルの“キング・オブ・コースター”
●筆者分析:世界遺産「富士山」に由来。長く登り、長く落ちるコースター軌道が、富士山の稜線に似ていることと、走行中に富士山を一望できることから表現。
この他、高さ30mから池にダイブし、ありえない量の水飛沫を浴びるコースター「クール・ジャッパーン」は、日本のブランド戦略である「クールジャパン」と飛沫音である「ジャッパーン」を掛け合わせている。
よく考えられたアトラクションネーミングは、「恐怖」を乗り越えて、「楽しさ」へ飛び込んでみたくなる。
たとえば、東京ディズニーランドの人気アトラクション「ビッグサンダー・マウンテン」は、ネーミングだけではどんな乗り物かわからない。
それに比べ、富士急ハイランドのアトラクションは、いつかどこかで聞いたフレーズとアトラクションの特徴がうまく掛け合わされているので、「おっ!?」となるのだ。