米ハーレーは米国外への生産拠点の移転を表明米ハーレーはEUによる報復関税を回避するため米国外への生産拠点の移転を表明した

米ハーレーが
生産を米国外に移転すると表明

 米国のハーレーダビッドソン(ハーレー)が、欧州向けオートバイの生産を米国外に移転すると表明した。その目的は、EUが、トランプ大統領の強硬な貿易政策に対応してとった報復関税措置を回避することだ。

 元々、トランプ大統領の保護貿易主義的政策の意図は、米国内での生産を増やすことだった。それに反して、米国の有力企業が貿易摩擦のコストを引き下げるため、工場をわざわざ海外に移す決定をしたことは何とも皮肉なことだ。

 トランプ大統領の強硬な貿易政策の主な目的は、11月の中間選挙で勝つことだろう。そのために、国民の人気を集めやすい“貿易戦争”を仕掛けているように見える。ただ、米国が強硬姿勢を取ればとるほど、相手国からも厳しい対抗措置が返ってくる。

 その結果、皮肉なことに、人気取りのために制裁関税などを重視するトランプ大統領の通商政策が、米国企業の経営を圧迫し始めた。

 関税引き上げの影響を回避するには、生産拠点を海外に移したり、関税引き上げ分を販売価格などに転嫁する必要がある。実際に米国企業がそうした対応をとり始めると、米国経済にはマイナスの影響が生じる。

「米国のため」といわれてきた政策が、意図に反して米国の経済にマイナスに働く。この“ブーメラン効果”は無視できない。トランプ大統領が貿易戦争のリスクを理解しない限り、グローバル経済の中で米国はさらに孤立を深めるだろう。ハーレーが生産拠点を海外にシフトすると表明したことを受けて、市場参加者はトランプ大統領のリスクを真剣に考え始めたようだ。