企業によるオフラインのコミュニティの形成が加速
Meetupは2002年に設立されたインターネット企業としては老舗の会社で、地域や興味のあることに関するコミュニティを簡単に運営することを可能にするプラットフォームサービスとして運営されてきた。
それを買収したということは、WeWorkはオフライン上の「リアルなコミュニティ」を構築することを重視している証左でもある。
このように、オフラインのコミュニティを形成するという動きは、WeWorkに限らず、多くの企業に見られ、なかには大きな成果をあげる企業も現れてきている。
それは、オフラインとオンラインをつなぐコミュニティ、すなわち密結合のソーシャルネットワークを通じて、ユーザーに提供する経済的・社会的ベネフィットの対価を直接的ないし間接的に徴収することができれば、従来の広告収入に頼った疎結合のソーシャルネットワークよりも高いユーザー当たりの売上(ARPU)を実現しうるからである。
新たなソーシャルメディアとして注目されてきたものの、まだまだマネタイズフェーズに移行できていないPinterestは、自社プラットフォーム上にコミュニティを形成することに大きな投資を続けている。
彼らが今後、広告モデル以外にどのようなマネタイズ手法を構想しているかは不明だが、いわゆるソーシャルメディアの中では、コミュニティ形成に早い段階から取り組んでいる企業の一つである。
一方、既に大きな収益をあげているAirbnbも、コミュニティ形成に力を入れている。
Airbnbはホスト(部屋を提供する人)に向けて「Airbnbコミュニティセンター」というウェブサイトを運営している。そこは、ホスト同士がつながり、体験談やアドバイスをシェアできる交流の場となっている。
また、Airbnbスタッフからの最新情報も届けられ、「ミートアップ」の企画・参加も可能となっている。
偶然、WeWorkが買収した企業と同じ名前であるが、これはAirbnbの登録メンバーが集まる、いわゆる「オフ会」で、地元のホストやゲストと知り合いたいと思っている人や、旅先でAirbnb利用者と合流したいと思っている人は、このミートアップに参加すれば、アドバイスや実体験を情報交換できる、ということを売りにしている。
ミートアップ自体も頻繁に開催されているようで、その時々によってテーマが変わり、地元の共同菜園のボランティアから建築見学ツアー、ホストの情報交換、市内のAirbnbコミュニティが集まるパーティなど様々だという。