オフラインでのコミュニティ育成
――NewsPicksとガンホー

 NewsPicksという、経済情報に特化した日本のソーシャルニュースメディアもコミュニティ形成に注力している。NewsPicksは2017年1月時点で会員数200万人、有料会員数3万人を超え、会員のほとんどはスマホアプリで閲覧・コメント入力を行っているという。

 そして、運営会社であるニューズピックスは、これらの会員を対象に2017年に「リーダーの教養」をコンセプトに「NewsPicksアカデミア」と称して、出版社と提携して紙の書籍の出版を行うほか、オフラインでのイベントを中心としたコミュニティ施策を始めた。

 具体的には、アカデミア会員と呼ぶ有料会員を別途募集し、その会員に対して講義、アート展示、パーティなどリアルなオフラインイベントの場を提供し始めたのである。

 この取り組み自体は、今後成功するかどうかはわからないが、スマホアプリというオンラインを主戦場とするサービスが、紙の書籍を出版するだけでなく、一般的な出版社やニュースメディアですら行っていないようなオフラインでのコミュニティをプロアクティブに組織化するというのは、極めてユニークな取り組みと言える。

 しかし、NewsPicksの取り組みに先立つ数年前から、コミュニティ育成に注力しているオンラインサービスがある。

 2012年にスマホゲームアプリとしてリリースされたガンホーの「パズル&ドラゴン」、通称「パズドラ」である。

 既にミクシィの「モンスト」がリアルなソーシャルネットワークを活かすことでロングセラーを記録していることについて触れたが、この「パズドラ」も、どんな大ヒット作も短命に終わるスマホゲームの世界において、5年以上にわたって依然としてベストセラー上位であり続けていることで有名なゲームである。

なぜ今「コミュニティ作り」をする<br />企業が増えているのか?<br />ガンホーフェスティバル2017のライブ会場風景
出典:https://event.gungho.jp/fes/2017/repo/index.html

「パズドラ」の強さの秘訣の一つして知られているのが、ツイッターやニコニコ生放送などのソーシャルメディア上でのユーザーとのダイレクトなコミュニケーションに注力するだけでなく(このような取り組みをゲームの一タイトルとして行うこと自体、稀なことである)、「ガンホーフェスティバル」と呼ぶ、リアルの場でのオフラインイベントを毎年全国で展開していることだ。

 2017年は全国8カ所で開催し、参加者がのべ10万人前後に達したというが、これがロングセラーの源泉の一つであろうことは疑いようのない事実である。