研修生という名目の下、労基法の網の目をくぐるような違法人材派遣現象がさまざまな製造現場で見られた。1998年には私も、時給300円で働かされている外国人研修生の実態を報じ、違法な人材派遣を行っている団体の経営者が逮捕され、有罪判決が下された。詳しくは『外国人研修生 時給300円の労働者―壊れる人権と労働基準』(明石書店)を参照されたい。

 10年後の2008年には、私はさらに外国人研修生の労働現場にメスを入れ、中国の派遣会社と日本の受け入れ側の会社の問題を抉り出してみた。こちらは『劣悪な労働環境に悲鳴続出!外国人研修生の「現代版女工哀史」』をご覧いただきたい。

 その記事で取り上げた中国人女性たちは、日本の「外国人研修・技能実習制度」に応募し、2005年12月に研修生として来日。書類上は「日本で最先端の縫製技術を学ぶこと」となっていた。配属された「テクノクリーン」というクリーニング会社も、同制度の対象職種である「婦人子供服製造」の会社として、監督機関であるJITCO(国際研修協力機構)に中国人研修生の受け入れを申請し、彼女たちを“縫製要員”として受け入れていた。

 しかし、実際に彼女らに与えられた仕事は、作業服や作業靴の洗浄などのクリーニング業務ばかり。縫製作業などは一切なかった。つまり「偽装研修」だった。過酷な労働環境に耐えきれなかった彼女たちが逃亡したため、基本給わずか5万円で15時間も働かせられていたという呆れ果てた偽装研修の実態が、ようやく世間にさらされたのだ。

 2010年7月1日には,外国人研修生の技能実習制度が改正・施行された。在留資格として「技能実習」を創設、ようやく最初の年から研修生の労働性を認め、以降 3 年間にわたって労基法の適用を認める方向で法改正を行った。外国人研修生という名前も労基法に適用する外国人技能実習生へと変わった。しかし、抜本的な改善は見られなかった。

 こうした実質的な外国人労働者の受け入れ実態と歩みを振り返りながら、私は今回閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針」で、外国人労働者の受け入れ政策が門戸開放へと切り替わったと受け止めたのである。

外国人「労働力」は欲しいが
「労働者」を受け入れる覚悟がない

 日本は労働人口の減少で経済成長を維持できず、財政も破綻する可能性が高まっている。だから安倍晋三首相も、「人手不足が深刻化しているため、一定の専門性、技能を有し即戦力となる外国人材を幅広く受け入れていく仕組みを早急に構築する必要がある」と指摘せざるを得なくなったのだ。