離れていても皆がつながる
「いつも仕事型」オフィスとは

 この「いつもの仕事型」にできるかどうかが、「幸せなテレワーク」を実現できるか否かの分かれ道となるわけだが、具体的にはどうしたらいいのか。田澤氏が代表を務め、「いつもの仕事型」の仕組みが根付くテレワークマネジメント社の職場を紹介しよう。

 同社では、クラウド上に会社そのものを置いている。ネット上に構築された仮想オフィスには、社長室、会議室、応接室、部門ごとの島などがある。実際には、遠く離れた東京、奈良、北海道北見市のオフィスに勤務する社員、在宅勤務の社員、モバイル勤務の社員らが、あたかも一緒にいるような疑似空間の中で仕事をしているわけだ。

 リアルな各オフィスはテレビのモニタで繋がっており、社員同士はウェブカメラとマイクを使い、いつでもネット上で「報告」「連絡」「相談」とコミュニケーションを行える。仕事に必要なデータは、クラウド上のストレージを介して自由にやりとりできる。社員全員のスケジュールはグループウェアで共有できるし、仮想オフィスの会議室で皆と打ち合わせもできる。1つのオフィスへかかってきた電話は、内線IPで全国のスタッフの電話に転送され、誰でも出ることができる。ファクスはクラウド上にあり、プリンタは近所のコンビニのものを活用している。

 離れて仕事をしていると、周囲とコミュニケーションがとれないから、寂しいし不安になる――。従来型のテレワークにおいては、社員に仕事のモチベーションを維持させる上で、こうした状況が最大の課題となっていた。しかし前述の仕組みなら、社員は一緒に働いている気持ちになれる。「皆が1つの職場にいれば当然できるインフォーマルなコミュニケーションを、離れたオフィス同士や在宅でもできることがとても重要」(田澤氏)なのだ。

 もう1つの大きな課題が、上司と部下が離れていることによる勤怠管理の難しさだが、同社の職場には信頼醸成の工夫もある。社員のPC上にタイムカードが表示されるのだ。リアルな会社で言うところの「出社する」「退社する」が、同社ではPCの前に座ったかどうかによって「着席する」「退席する」という表示になる。休息、トイレ、昼食、宅配便の受け取り、子どもの迎えなどで席を離れたり戻ったりするたびに、社員はタイムカードの該当するボタンをクリックするのだ。

 表示が「着席」になるとタイマーが動き出し、「退席」だとそれが止まるため、社員が仕事の途中で中抜けしても、1日の所定労働時間を満たしたかどうかを会社は正確に把握できる。労働時間が足りなければ、子どもを寝かせてから残りの仕事をする、その時間は有給扱いにするなど、毎日の労働時間をきちんと管理できる。