ここで見逃せないのが、ロシアもクロアチアも指揮官と選手たちが同じ言語でコミュニケーションを取り、「納得させる力」が余すところなく発揮されている点だ。その一方で優勝候補の一角だった、スペイン人のロベルト・マルティネス監督に率いられるベルギー代表が準決勝でフランスに屈した瞬間に、実は誕生間近だった初めての快挙が幻に終わっている。

 過去20回のワールドカップ優勝国で、外国人監督に率いられたチームはない。厳格な性格とカリスマ性でフランスを束ねるディディエ・デシャン監督も、フランスが悲願の初優勝を果たした1998年の自国開催大会でキャプテンを務めたレジェンドだ。つまり、今回どちらが勝ったとしても、自国人の監督に率いられるチームが頂点に立つジンクスは継続されることになる。

西野監督が日本人だからこそ生まれた一体感
クリンスマン氏の後任報道には違和感も

 もちろん、日本代表に触れないわけにもいけない。ロシア大会の開幕まで2ヵ月あまりと迫った段階で、旧ユーゴスラビア出身のヴァイッド・ハリルホジッチ前監督を、選手たちとのコミュニケーションや信頼関係がやや薄らいできた、という理由で電撃的に解任。技術委員長としてハリルジャパンをサポートする立場にあった、西野朗氏を後任監督に据えた理由は明白だ。

 コーチングスタッフを含めた全員を、いわゆるオールジャパンにすることでチーム内の風通しをよくする。通訳を介してワンクッションを置くことなく、日本語で意思疎通を図れるメリットを、DF槙野智章(浦和レッズ)は大会前の時点でこう語っていた。

「西野監督もそうですし、手倉森(誠)コーチに加えて森保(一)コーチも入ったことで、非常に密なフィードバックが選手たちに対してある。そこが大きな違いのひとつですし、あとは練習の中でディスカッションする時間が増えていますよね。ハリルさんの時は、練習中にみんなが話すと『やめろ』と制限されましたから。そうしたストレスがないという意味で、ディスカッションする時間があるのも非常に大きな変化だと思います」

 グループリーグ初戦で難敵コロンビア代表を撃破し、第2戦では2度のビハインドを追いついてセネガル代表と勝ち点1を分け合った。迎えたポーランド代表との最終戦は、1点をリードされた後半37分すぎから、アディショナルタイムを含めた約10分間でリスクを冒さないボール回しを徹底させた。

 同時間帯で行われていた一戦でコロンビアがセネガルをリードした、という一報を受けた西野監督があえて黒星を受け入れる戦い方を指示。起用する予定のなかったキャプテンのMF長谷部誠(アイントラハト・フランクフルト)を緊急投入してまで、無難なパスを回したままで試合を終わらせた。