災害級猛暑の中で、熱中症にかかる子どもが続出している。こんな事態になってなお、なぜ日本人は根性論から抜け出せないのか。旧日本軍に蔓延していた「狂った考え」が、今なお日本社会全体を覆っているからではないだろうか。(ノンフィクションライター 窪田順生)

「亡き女子マネへ…」
美談にされた酷い事件

「猛暑に耐えてこそ」という根性論は旧日本軍にも蔓延していました
根性論が蔓延していた旧日本軍の演習では、「日射病で死者七名」(当時の表現)なんてのは当たり前。そして戦後70年以上経つ今も、この狂った考え方は日本社会に深く根付いたままだ(写真はイメージです) Photo:PIXTA

 気が狂いそうになるような連日の暑さのなかで、本当に気が狂ってしまったのではないかと心配するような、「子どもへの虐待」が続発している。

 7月17日、愛知県豊田市の小学校ではすさまじい炎天下で高温注意情報が出ているなか、エアコンのない校舎で過ごしていた1年生112人に、さらに1キロ離れた公園まで歩かせて、昆虫採集や花摘みをさせるという暴挙に出た。

 行きの道中から疲れを訴えていた男の子は、唇が真っ青になって意識を失い、そのまま帰らぬ人となった。熱中症のなかでも、重い症状にあたる「熱射病」だった。

 甲子園の地方予選でも、炎天下で母校の応援に駆り出される子どもたちがバタバタと倒れている。あまりに犠牲者が出て感覚が麻痺してしまったのか、いつもは何かと「子どもを守れ」と世間にご高説を垂れる「正義の大新聞」までおかしなことを言い始めた。

 新潟の私立加茂暁星高校が地方予選準決勝で敗れたことを、「練習直後に倒れ…亡き女子マネジャーへ、捧げる2本塁打」(朝日新聞デジタル2018年7月22日)と報じたのだ。

 タイトルだけ聞くと、漫画「タッチ」を思わせるような甲子園感動秘話を連想するかもしれないが、正確には、この女子マネージャーは、「練習後に約3.5キロ離れた学校に戻るため、選手とともにランニングをさせられて倒れた」のである。

 しかも、遺族によると、倒れた時に心室細動を発症していたが、野球部の監督は「呼吸は弱いけれどある」(朝日新聞デジタル2017年7月25日)とAEDを使わず、救急車が来るのを待っていたという。数日後、女子マネージャーは低酸素脳症で亡くなった。