アマゾンが、在庫管理から返品対応までしてくれる

これは、マーケットプレイスの中の一部門で、マーケットプレイスはただのオンラインの場を提供するだけだが、FBAを利用すると、どんな企業でも、アマゾンのインフラが使用できる。

商品の保管から注文処理、出荷、決済、配送、返品対応まですべてをアマゾンがまとめて代行してくれるのだ。

店舗がなくても、自社のECサイトを作らなくても、アマゾンの倉庫に全部預けるだけで、あとはアマゾンが自社の商品を売ってくれるという仕組みだ。

人手が限られる個人商店や、中小企業にとってこのサービスは非常に助かるだろう。

アマゾンの配送機能やカスタマーサービス機能を使って、世界中の何百万という顧客との接点を持つことが可能になるのだ。

FBAの倉庫は年中無休で稼働している。休日でも即日発送できるので「すぐに欲しい」顧客の要望をくみ取り、機会ロスも防げるわけだ。

また、利用料金も手軽だ。まず月額の固定費がない。発生するのは、商品の面積や日数に応じた在庫保管手数料や、商品の金額と重量に基づく配送代行手数料のみだ。

それ以上の費用負担はなく、これも中小企業にとっては大きな魅力だ。

FBAを利用する企業は、自分のページに「プライムマーク」を表示できる。プライムマークは、無料で当日・翌日に届くことを示すマークで、プライムマークがあると、やはり商品購入されやすい。

多くの企業がFBAの恩恵を受けており、FBAを採用した約8割の店舗で売上が増えているという(『アマゾンと物流大戦争』NHK出版新書)。

マーケットプレイスとこのFBAが生まれた背景には、古本の「せどり」という習慣がある。 せどりとは、古本の目利きが、価値ある本を古本屋から安く見つけてきて高く売ることだが、まだアマゾンが本を中心に扱っているときに、この個人のせどりに、オンライン販売の場を提供したことから始まる。