数年前に2~3年の短期固定金利型や変動金利型の住宅ローンを借りた人の相談が増えている。固定期間がまもなく終了するけれど、次はどの金利タイプを選ぶといいか迷っているという相談だ。

 相談者の多くは、借りた当初は「金利はまたまだ上がらないだろうから、とりあえず1%の3年固定を利用して、そのあと長期固定に切り替えればいい」と考えていた。

 しかし、長期固定型の金利は3%以上。それまで1%で借りていたローンが3%になると返済額は30%以上もアップしまうので、シナリオ通りに長期固定にシフトするのは、家計の現実と照らし合わせるとむずかしい。再度、3年固定を選ぶべきか、それとも他に選択肢はあるのだろうか…。

割引競争が激しい
10年固定金利へ借り換えがベスト

 民間住宅ローン残高のうち、短期固定型と変動金利型が占める割合は70%超なので、このコラムの読者で同じような悩みを持っている人は多いだろう。

 こうしたローンを持つ人には、他の銀行の10年固定金利ローンへ「借り換える」ことを勧めている。10年固定型は銀行ローンのなかで最も割引競争が激しい金利タイプなので、他のタイプに比べ割安な金利となっている。たとえば、メガバンク3行の適用金利は1.85~2.0%(2008年2月)。これを上手に活用して見直しを図ろう。

ローン金利には
基準金利と適用金利の2つがある

 実際の見直し方法の話の前に銀行ローンの仕組みを理解しておきたい。

そもそも「1%」ローンは、本来の金利(基準金利)から1%以上の大きな割引を受けて実現したもので、最初の固定期間が終了すると割引が縮小する仕組み。つまり、3年前と金利水準が変わらなかったとしても、適用金利はアップするのである。

 銀行の住宅ローンには、「基準金利」と「適用金利」の2つがあることを知っておきたい。市場に連動した本来の金利が「基準金利(または店頭金利)」で、そこから割引(銀行では「優遇」という言葉を使う)を受けて、実際の金利である「適用金利」が決まる。