つまり、東ガスはLNGビジネスのフルラインアップの“メニュー”をそろえたプレーヤーとして、アジアに乗り込もうというのだ。

 しかし、である。アジアのマーケットでは、日本とはビジネスモデルが違う。一つのプロジェクトの中で、LNG基地の設計、建設、O&M、LNGの調達といった機能別に異なるプレーヤーに発注するのが主流になっている。

 東ガスのメニューは豊富だが、アジアで上流から下流までのパッケージを武器に勝負しようとするならば、容易なことではない。

 もっとも、東ガスは半世紀にわたってLNGを取り扱ってきたノウハウを武器に、国内に加え韓国や台湾、フィリピン、インドネシアなどでLNG基地のエンジニアリング事業の受注実績がある。ここに一定の優位性はあるように見える。

 しかし、実は東ガスと同様にLNG基地のエンジニアリングやO&Mに強みを持ち、アジアに進出しているプレーヤーが国内にいる。

 ガス業界2位の大阪ガスや、東電と中部電力の火力発電・燃料調達部門の合弁会社ジェラだ。業界関係者は「海外ではこれらの競合が同じ日系企業として見られる。差別化は難しい」と明かす。

 また、LNG基地をめぐる世界的な情勢も大きく変わっている。

 近年、建設コスト削減や工期の短縮を目的に、通常の陸上ではなく海上に設置するLNG受け入れ基地(FSRU)に注目が集まる。アジアでもFSRUの需要が高まっているのだ。陸上LNG基地のノウハウを生かせるとはいうものの、東ガスにFSRUに関する実績はまだない。

 そもそも、LNG基地のエンジニアリング事業は、「利益は非常に小粒」(業界関係者)だという。東ガスが海外事業で利益を伸ばすために越えるべきハードルは、極めて高いといえそうだ。